2020年12月21日月曜日

13年越しの「救済」

12月7日、勝訴判決をかち取ることができました。
名古屋市交通局の市バス運転手の方が、焼身自殺で亡くなられたため、名古屋市に対して損害賠償を請求していた事件で、ほぼ完全勝訴の形で請求が認められました。
そして、先日、名古屋市は上訴しないことを決定したので、この勝訴判決が確定することになりました。

NHK報道

この事件は、ご本人が亡くなられてから13年以上が経過していましたが、ようやく「救済」がなされることになります。
この間、公務上の災害に該当するかを争い、ようやく名古屋高裁で公務上の災害に当たることが認められました。
にもかかわらず、名古屋市が過失を認めないので、二度とこういったことを起こさないため、市の安全保障義務違反を認めさせるべく、損害賠償訴訟を提起していました。この損害賠償訴訟についての勝訴判決です。

ご本人が戻ってくることはありませんが、名古屋市は過ちを認めて謝罪しました。
ようやく司法的救済が実現します。
亡くなられた息子さんに代わって、長い長い時間を闘ってこられたご両親、支援のみなさん、そして弁護団と共に、この喜びを分かち合いたいと思います。
自分は、この事件に弁護士登録して1、2か月くらいの新人時代から、過労死事件の神様の一人である水野幹男先生と一緒に取り組んできました(その後、これも過労死事件のエキスパートの岩井羊一先生、当法人の澁谷望弁護士、当法人出身の伊藤美穂弁護士も加わります)。

登録当初から取り組んできた事件は、普天間基地爆音差止訴訟とこの事件だけなので、万感の思いでして、うまく表現できません。
でも、一つはっきりしているのは、この事件に取り組むことがなければ、いまの自分もなかったということです。
育てていただいた水野先生、岩井先生には、感謝しかありません。
支援のみなさんの真摯な取り組みや、MBSの奥田雅治さんのジャーナリストとしての信念と行動、すべてが弁護士としての血肉になりました。
なにより、一番大変なところで闘ってこられたご両親に敬意を表します。

この勝利により、二度と同じようなことが繰り返されないことを願い、その実現に向けて微力ながら尽力できればと思います。

※この事件に関する奥田雅治さんの著書
「焼身自殺の闇と真相: 市営バス運転手の公務災害認定の顛末」


弁護士法人・響
代表弁護士 ニシカワケンイチ